「なかなか見つけられない包丁屋さん」

 
「なかなか見つけられない包丁屋さん」
 
包丁屋さんを探して
住宅街に迷いこむ。
見えてきたのは黒い壁。
 
ここかな…?と思い車を止めてみる。
中からスタッフらしき人が。
声をかけてみる。
 
「ここ包丁屋さんですか?」
 
すると元気な声で
「そうです!」
 
ホントに…?と思いながらも車を駐車させた。
 
「こちらです。」と案内されたのは一軒家。
 
「え…本当にここでいいんですか?」
と半信半疑な思いで中に入る。
 
すると、目に飛び込んできたのは
カフェでもない、ジュエリーショップでもない
自分が想像していた包丁屋さんとは全然違う…
4畳半ほどの小さな空間。
窓から差し込む木漏れ日。
壁にはたくさんの包丁。
 
 
包丁ってこんなにたくさんあるの?
と戸惑う私に、スタッフの方が
 
「どんな包丁をお探しですか。」
と笑顔でたずねてきた。
 
「たくさんありますね…。」と
その問いかけに答えられなかった私に、
 
「お家で使うんですか?」
「そうなんです。」
 
 
すると、スタッフの方が
壁からいくつか包丁を取り外した。
そして、1本ずつ鋼材や特徴を
説明しながら並べてくれた。
 
「握ってみてください。」
 
その言葉に拍子抜けした私は
おそるおそる握ってみた。
こんなかんじかあ…これ悪くないな…
んーさっきのより太いかも…
でもこっちは…んー重いんかな…
 
見た目のち外はもちろん、
握ってみると1本1本個性があり
ハンドルの太さや、重さがすべて違う。
いくつか握ってみたが、なんか違う。
 
 
そして最後に握った包丁。
握った瞬間に、手と一体になる感覚。
私は「これだ!」と直感した。
迷わず「これがいいです!」と伝えた。
 
 
そしてワインバッグに入った包丁を大事に抱え、
お店をあとにした。
車を走らせた私は、
バックミラーに映るお店の景色に
来たときとは違う感情を抱いた。
 
 
こんな包丁屋さん。
 
 
 
 
なかなか見つけられない包丁屋さん